インフレで価格転嫁率が低いのは"IT業界"だが...?
中小企業が6月20日に発表した「価格交渉促進月間のフォローアップ調査の結果」でインフレ下でIT業界が他業種と比べて価格転嫁ができていないことがわかりました。
企業の原材料、エネルギー、労務費、それぞれのコスト増に対する価格転嫁率を集計、単純平均したランキングがこちらです。
業種別にランキングされているのですが、23位以下をご覧ください。
情報サービス・ソフトウェア、広告、通信、放送コンテンツといったIT企業が属する業種が下位を独占しています。
傾向として、労務費の上昇分は他業種と同等の価格転嫁率ですが、エネルギー、原材料のコスト増加分に対する転嫁率が低くなっています。
資料内の下請Gメンヒアリングによる生声を見ると、競合他社との競争が価格交渉を妨げていることも多そうです。
しかし、価格転嫁率が低いからといって、これらのデータから「IT業界は価格転嫁できずに他業種より利益が圧迫される…!!!」という訳ではありません。
ヒアリングの結果、直近6ヶ月間の価格交渉の状況で「コストが上昇していないため、協議を申し入れなかった」「コストが上昇しているが、自社で吸収可能と判断し、協議を申し入れなかった」と回答している割合は業種ごとに下記の数値感になっています。
各業種 40%近くが、そもそもコストが上昇していないか、自社で吸収可能な範囲内のコスト上昇しか起きていないのです。
一方で、価格転嫁率が上位では同じ回答の割合は下記の通りです。
コストが上昇していないと回答している割合は5%前後、自社で吸収可能な範囲内まで広げても10%~15%前後となり、大体数の企業はコスト増加していることがわかります。
つまるところ、コストが増加している業種は徐々に価格転嫁が進んでいており、転嫁率が低い業種もあれどそもそもコストがほとんど上がっていない業種も含まれるため、全体の数字を見る時はそれらを考慮して判断するべきでしょう。
今後もニュースで見た数字について、自分でソースを確認し、本当にその数字が表している意味と記事のタイトルは合っているか確認するクセを身につけたいと思うデータでした。
それではまた!