投資と経済 GOEMON

会社経営10年目のアラサー🏙️/2023年6月からブログ執筆本格開始/ 株式投資や社会人のスキル向上に役立つ記事を書いています。

日銀YCC再修正論報道はあれど、植田総裁と岸田首相は芽を育てたい意向強い

こんにちは、GOEMONです。

10月23日(月)のレポート。

このnoteでは前日の米国市場から当日の東京市場までの株式投資、経済に関するニュースや出来事をまとめたレポートを平日18時を目安に投稿しています。

自分では2~3時間かかる量のニュースをこの記事1つで済むよう、可能な限り網羅し、要点をまとめています。
さらに深掘りしたい方は「ニュースメモ」から各ニュースのリンク先を御覧ください。

■米国

先週末 20日の米株式市場は4日続落となった。

・S&P500種株価指数:4,224.16(-1.26&)
・NYダウ平均   :33,127.28(-0.86%)
・NASDAQ    :12,983.81(-1.53%)

S&P500は4ヶ月半ぶりの安値となり、最近の米金利上昇によって株式市場が厳しい局面を迎えていることがわかる。

10月21日から11月1日のFOMC会合前のブラックアウト期間に入り、要人発言がなくなったため、今週の米株式市場は様々なデータで憶測が飛び交うことになりそうだ。

Q3米GDP速報値は堅調に推移の予想

今週26日(木)に発表される7月~9月の米実質GDP速報値はブルームバーグが実施したエコノミストの予想で前期比年率+4.3%とされている。

個人消費も+4.0%が予測中央値になっており、引き続き米国人の消費活動は強い数字となって現れる見込みだ。

それに伴い、リセッション確率もエコノミストらは引き下げている。

参考:米経済成長予想引き上げ、リセッション確率は下げ-エコノミスト調査

エコノミストらの予想通り、米経済の底堅さがまたもや示されれば11月の利上げは無くとも12月のFOMC会合での利上げ確率は高まる可能性がある。

そうなった場合には、すでに5%へ到達しつつある米長期金利はさらに高まる可能性が高い。

年末まで金利上昇の動きが続くのであれば、当然ながら株式市場にとっては逆風となる。さらに年途中まで含み益を抱えていた投資家たちが来年のさらなる株価下落を嫌気して年内に少しでも残っている利益確定の売りが強まる可能性もある。

債券市場の損失を埋めるための株式での利益確定の動きも強まる中、悪材料が後を絶たない。

日銀のマイナス金利解除で米国債はさらに被害を被る

米国債に追い打ちをかけるように、日銀の動向も注目されている。

後述するが日銀のマイナス金利解除は米国債の利回り上昇の材料となる。なぜならば、日本の投資家が保有している米国債は1兆1000億ドル(約165兆円)と海外勢の中で最も多い。

そしてマイナス金利やYCC撤廃により、日本の利回りが上昇すればその日本の投資家たちが少なくとも米国債の一部資金を日本へ戻し入れるため、すでに受給が悪化している米国債の買い手がさらに手薄になるわけだ。

米国政府がより大きな借金をすると既に発表しており、現時点ですら買い手が足りなくなりつつある状況で、最大の米国債保有者である日本の投資家が資金を引き上げてしまうわけだから、米国債の利回りはさらなる上昇圧力に襲われる。

こうした理由で今月末の日銀会合での政策修正に海外投資家も注目している。

関連:日銀のマイナス金利解除時、米国債に最大の痛手か-MLIV調査

米オフィス不動産と銀行不安も燻る

何度かこのnoteでも取り上げたが、米オフィス不動産の需要低迷により、貸付をしていた銀行への不安が今なお燻っている。

米国金利上昇で債券部門で多額の含み損を抱えている米銀行の多くは、オフィス不動産でも危うい立場にある。

今後、オフィス不動産市場が回復せずに巨額の損失が中小銀行に発生すれば、その損失分を補填するために含み損状態だった長期債を現金化 = 損益確定する必要が出てくるかもしれない。

3月のSVB破綻から一時は落ち着いたように思える米銀行不安だが、アナリストの間で一部銀行への不安が高まっているようだ。

参考:FRB、インフレ圧力やオフィス市場巡る懸念警告-金融安定報告

■日本

10月23日(月)の東京株式市場は先週末に続いて下落した。

日経平均:30,999.55円(-0.83%)
TOPIX  :2,238.81(-0.75%)
マザーズ:635.40(-2.85%)

心理的な節目となる31,000円を割れて3週間ぶりの安値となった。

週末に日銀のYCC再修正論浮上の報道で金利上昇

株式市場下落の一番の要因となったのは22日(日)に日経新聞が「日銀、金利操作の再修正論 長期金利「上限」1%接近で」と報じたことだろう。

元より7月のYCC柔軟化から日本の長期金利はじりじりと上昇しており、それに加えて米金利高、国内インフレ指標の高止まりにによって早期の修正は何度も噂されていた。

しかし先週20日には植田総裁が全国信用組合大会で「経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していく」とお馴染みの発言を繰り返し、改めて緩和的なスタンスを維持したこともあり、今会合は様子見ムードの見方もあった。

そこへ来て日経新聞が今会合でのYCC再修正の可能性を報じたため、市場での警戒感が高まったというわけだ。

しかしながら先週末書いた通り、賃金上昇を伴う安定的な物価上昇の芽を摘んでしまうことを嫌う日銀のスタンスから考えると、もう少しだけ様子見したいというのが本音だろうと私は見ている。

11月1日でのFOMC会合でも利上げはされないだろうから、少なくとも12月のFOMC会合まで米政策金利は引き上げられることはない。

米長期金利が上昇しているが、YCCの上限の1.0%まであと0.15ポイントの猶予がある。

YCC柔軟化を決めた7月会合から現時点までの上昇幅、その間の米長期金利の上昇ペースと、現時点から次の日銀会合(12月18,19日)までの上昇幅を考慮すればもう1ヶ月半はギリギリ待てる範囲内ではないだろうか。

いずれにせよ、来週の日銀会合の決定まではこうした政策修正に関する報道で一喜一憂する展開が続きそうだ。

岸田首相の所信表明演説は引き続き緩和政策を後押し

日経新聞による政策修正論の報道の一方で、本日午後には岸田首相による演説で緩和政策を後押しするような発言もあった。

今後3年程度を「変革期間」と位置づけて持続的な賃上げや設備投資の拡大を実現するための支援を行っていく姿勢を改めて強調した。

また、エネルギー価格上昇を抑える補助を2024年春まで続けること、所得税減税を念頭にした物価高対策の検討も進めている模様だ。

強めの発言としては「変化の流れを絶対に逃さない、つかみ取る」というもので、日銀の植田総裁と同じく、賃金上昇と安定的な物価上昇の芽を摘まずに育てていくために、緩和スタンスを維持しようとする姿勢が伺える。

こうした政策が将来的に止まらないインフレになりかねない懸念もあるが、岸田首相と植田総裁の今のところの発言を鑑みると、まだまだ緩和的な金融政策の維持が続きそうだ。

つまるところ、米株安に押される形での日本株安は気にせず、引き続き日本株へ投資を増やしていきたい。

■為替

記事執筆時点の18時現在、ドル円は1ドル 149.93円で推移している。

日米金利差は引き続き大きく、ドル高円安がメインの方向ではあるものの日銀のYCC再修正と為替介入への警戒、アルゴリズム取引によって節目となる150円を巡る攻防が続いている。

引き続き為替に関しては今ここで売買をするリスクは高すぎるため、手を出さずに傍観すべし。

それではまた明日!

ニュースメモ

■米国

▼株式市場/経済全般

米自動車ローン延滞、約30年ぶりの水準に増加-高金利の負担重く
格付け会社フィッチ・レーティングスによると、サブプライム層(信用力の低い借り手)向け自動車ローンの延滞率(60日以上)は9月に6.11%となり、データがさかのぼれる1994年以降で最も高い水準となった。前回高水準をつけていたのは1月の5.93%で、4月にはいったん低下していた。
「この層ではマクロ経済の逆風による悪影響が最初に表れることが多い」

▼経済指標

7-9月米GDP速報値、2年ぶり高い伸びへ-経済大国の座揺るがず
7-9月(第3四半期)の米経済成長率は、堅調な消費を背景に約2年ぶりの高水準となった公算が大きい。追加引き締めの必要性を議論する米金融当局者には難題となる。
ブルームバーグが実施したエコノミスト調査の予測中央値では、7ー9月期の米実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率4.3%増の見込み。
米経済の主要エンジンである個人消費は4%増の見通し。

▼債券市場

日銀のマイナス金利解除時、米国債に最大の痛手か-MLIV調査
日本のマイナス金利は数カ月以内に解除される見通しで、その場合は世界市場に多大な影響を与え、米国債が最も大きな打撃を受けそうだ。
日本の利回りが上昇すれば米国や欧州、オーストラリアに膨大な資産を保有する日本の投資家に対し、海外資金を国内に回帰させる「レパトリエーション」を促すことになるからだ。

▼コラム

米経済、住宅部門が「もう一つの脅威」に
【寄稿】ブラックマンデー再来間近か
米国株、弱気の市場と強気のエコノミスト 軍配はどちら

▼その他

米下院議長選、共和党議員9人が名乗り-選出まで時間かかる可能性
再び振り出しに戻っていた米下院議長選は、これまでに共和党から9人が立候補を表明した。議長選出のプロセスがさらに長引く可能性がある。

■日本

▼株式市場/経済全般

日経平均続落、終値259円安の3万999円
23日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落し、前週末比259円81銭(0.83%)安の3万0999円55銭で終えた。終値で心理的節目の3万1000円を下回るのは10月6日以来。

賃上げ・投資「3年で変革」 岸田首相が所信表明演説
岸田文雄首相は23日午後、第212臨時国会の所信表明演説に臨んだ。今後3年程度を「変革期間」と位置づけ、持続的な賃上げや設備投資の拡大を実現するための支援を集中する。物価高対策は所得税減税を念頭に検討を進め、ガソリンや電気・ガス料金の価格上昇を抑える補助は2024年春まで続けると表明した。
「私の頭に今あるもの、それは『変化の流れを絶対に逃さない、つかみ取る』の一点だ」と語った。
ガソリン補助金に加えて電気・ガス料金の激変緩和措置も24年春まで継続すると話した。低所得者向けの給付のために重点支援地方交付金を増やす考えを示した。

▼債券市場

長期金利0.86%、日銀政策修正観測で債券売り-定例オペ結果も弱い
23日の債券相場は下落。長期金利は0.86%と2013年7月以来10年3カ月ぶりの高水準を更新した。日本銀行が月末の金融政策決定会合で政策を修正するとの観測から売られた。日銀が実施した定例の国債買い入れオペの結果も弱く、投資家は慎重な姿勢を維持している。

債券15時 長期金利が上昇 0.860%、約10年ぶり高さ 日銀修正の思惑で
23日の国内債券市場で長期金利は上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.025%高い0.860%と、2013年7月以来10年3カ月ぶりの高水準をつけた。日銀が30~31日に開く金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正するとの思惑から幅広い年限で新発債が売られた。日本時間23日の取引で米長期金利が上昇したのも国内金利の上昇圧力となった。

▼その他

岸田首相、ライドシェア解禁検討と表明-タクシー業界の人手不足で
岸田文雄首相は23日の所信表明演説で、一般のドライバーが自家用車で乗客を有償で運ぶ「ライドシェア」の解禁を検討すると表明した。

■中国

中国、5年に一度の全国金融工作会議を30-31日に開催-関係者
中国は5年に一度の全国金融工作会議を30-31日に開催する、と事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。61兆ドル(約9150兆円)規模の金融業界のリスクを防ぎ、中期の優先課題を策定するためだという。
中国の銀行システムやより広範な経済に与える影響の大きさから、この会議はこれまで中国ウォッチャーから特に注目されてきた。

中国ハイテク株指数が最安値、成長懸念が重し-6カ月連続安の方向
中国市場に売りの波が押し寄せている背景には、低迷する経済成長や世界的な高金利による需要不振を受けた輸出の伸び悩みがある。

■為替

円が一時1ドル=150円台、高まる介入警戒-アルゴ取引円安阻む
アジア時間23日早朝の外国為替市場で円相場が再び1ドル=150円台に下落した。日米金利差を意識した円売り・ドル買い圧力が強く、日本の通貨当局による為替介入への警戒感が高まっている。

円がすぐに149円台に戻した理由について、スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は、介入警戒感が強い中で150円台で円買いを入れるアルゴリズム取引が設定されていた可能性があると指摘。

■債券

債券価格モデル、資産運用会社がアップデート-新たなリスクに対応
実物資産に絡む債券価値を再評価する資産運用会社が増えている。鉄砲水や火災、暴風雨の頻度が急増し、従来の価格決定モデルが打撃を受けているからだ。

■コモディティ

金と原油が下落、中東の紛争エスカレートへの懸念が和らぐ
アジア時間23日の取引で金と原油相場が米国債と共に下落し、米株価指数先物は上昇している。中東での紛争がエスカレートすることへの不安が週末に和らいだ。
原油価格は1バレル=87ドルに向けて下落し、金相場は5カ月ぶり高値から1オンス=1970ドル前後に下げている。

■その他

Twitch、全ての他サービスと同時配信を許可。ガイドライン変更