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会社経営10年目のアラサー🏙️/2023年6月からブログ執筆本格開始/ 株式投資や社会人のスキル向上に役立つ記事を書いています。

米国債売りが世界株安へ、ドル円は介入あれど160円台へのリスク高まる

▼米国

今朝の米株式市場はS&P500種株価指数が前日比-1.37%と大幅安だった。

8月の米求人件数が発表され、エコノミストの予想を上回り予想外に増加したことが、最近の金利上昇圧力をさらに高めて米国債売りが加速したからだ。

参考:米求人件数、8月は予想外の増加-ホワイトカラーの求人が急増

以前から米長期金利は上昇し、下がることは無いと書いてきたものの正直ここまでの上昇は想定していなかった。

一時的に落ち着いた米政府閉鎖の問題も引き続き長期金利上昇の材料となり得る状況で、マッカーシー下院議長が解任動議が可決されたことで、大手格付会社ムーディーズが米国債を格下げするリスクも高まりつつある。

関連:マッカーシー米下院議長の解任動議可決 米史上初

また、市場が混乱に陥り、世界的な株安の流れが続く中で当局者たちはあとひと押しが必要だと言わんばかりにタカ派な発言をメディアに流している。

アトランタ連銀のボスティック総裁は「利上げを急ぐつもりはないが、利下げを急ぐつもりもない。長期にわたり据え置くことを望む」と発言。

クリーブランド連銀のメスター総裁は「次回会合でも、最近の会合と同じような経済状況であれば、私なら追加利上げを行うだろう」と11月会合での利上げを支持した。

参考:アトランタ連銀総裁、政策金利を高水準に「長期間」据え置くべきだ
参考:クリーブランド連銀総裁、11月の追加利上げ支持-米経済が安定なら

一方で、イエレン財務長官は高金利水準を長期的に据え置くことが本当に必要なのか疑問視していると述べた。

参考:イエレン氏「決して既定路線ではない」-金利の長期高止まりシナリオ

昨日に続き要人の発言が多くニュースに流れているが、トータルでは全体的に年内もう1回の利上げと高い政策金利水準を長く据え置くという見方が優勢だろう。

米10年債利回りは4.88%まで上昇し、米30年債利回りは2007年以来の5.0%を越えた。

日本の国債を見てもわかり通り、米国債の急激な下落(利回り上昇)が世界の債券にも影響を与えて広がっている。ブルームバーグの指数によれば、米国債と世界の債券の相関が2020年3月以来の高水準となっている。

それだけ米国債利回りの上昇は世界の金融市場に不安を与えている。

関連:米国債の売りが世界の債券に広がる-米10年債利回り5%超が視野に

▼日本

米国株安を受けて4日の東京株式市場でも売りが優勢となった。

日経平均株価は前日比で-711.06円(-2.28%)の30,526.88円で引けた。実に5ヶ月ぶりの安値だ。ドルベースでもバフェット効果が現れ初めた4月頭の208.80ドルを下回った。

売られている理由について様々な見解が見られるが、今年これまで上昇してきた分の利益確定売りと昨日も書いたように機関投資家の機械的な売りが重なったこと、日米金利上昇からリスクオフのムードが一気に高まったことなど、挙げられている理由全てが重なっているように思う。

ただ、中長期的に売られる理由は私としては見当たらないため、やはりこの下落は日本株の買い場と捉えている。

日本株下落のリスクに当たるのは足もとでは、
・マイナス金利解除
・YCC撤廃
・日米の景気後退
・インフレ抑制不能
・円高
あたりだろうか。

このうち、マイナス金利とYCCが無くなり、金融政策の正常化があったとして、日本企業の資金調達コストにどれだけの悪影響があるのかを想像してみてほしい。

政策金利を仮に0.5%や1%に引き上げても、依然として企業の借り入れコストは低い。10年債利回りが1.5%になってもまだまだ健全な範囲内だ。

だから、米国債利回り上昇とYCC撤廃圧力から日本の長期金利が多少上がろうとも、多額の借入でレバレッジをかけまくっている企業でなければ業績への影響は軽微。にも関わらず、連日売られまくっているのは中長期で優良企業の株式を保有するスタンスの方であれば好機だろう。

もちろんこの後もう一段の下落があるかもしれないが、底はどこにあるか見極めることは難しい。

だが、売られているのが企業の実力に関係なく、一時的な外部要因であれば下落幅も限られるし、徐々に買い進めていくのが賢明と判断している。

というわけで、今年の残りNISA枠を今月来月で埋めるべく、お買い得な銘柄を探していく。

▼為替

本日は特に為替のニュースが多い。

昨晩1ドル 150円を付けた後、一瞬にして147円台まで急騰した。

為替介入観測もあるが、神田財務官は介入の有無についてはコメントしない方針のため審議はまだわからないが、トレーダーの機械的な売りが重なっている可能性も無きにしもあらず。

関連:円相場 一時1ドル=150円台 財務官“介入有無コメント控える”

乱高下を繰り返した後は149円前後で推移し、記事執筆時点の17時現在は148.85円となっている。

介入警戒があることに加えて、日本の10年債利回りが一時0.8%を付けても日銀が臨時オペを入れなかったことも若干の円高要因として機能しているかもしれない。

しかし引き続きファンダメンタルズとしては、円安ドル高の方向にしか材料はなくこのまま米国長期金利が5.0%に到達、突破をすれば、日本国債10年利回りが1.0%の上限に達してしまう可能性がある。

日本の10年債が1.0%で抑えつけられている間に、米長期金利がさらに上昇をするならば、もはやドル高を止めるためにFRBの利下げしかなく、それには少なくとも半年以上の期間が空くと見られる。

そうなってしまっては、ドル円は1ドル 155円、最悪の場合には160円といった水準まで突き進む可能性すらあるだろう。

それではまた明日!

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