投資と経済 GOEMON

会社経営10年目のアラサー🏙️/2023年6月からブログ執筆本格開始/ 株式投資や社会人のスキル向上に役立つ記事を書いています。

日銀会合の結果、市場は緩和政策維持でハト派と受け止める展開に

7月31日、YCC修正から週末を挟んでの東京株式市場は大幅高となった。

日経平均は前週末比+412.99円の33,172.22円、TOPIXは1990年7月以来の高値2,322.56を付けて引けた。タイトルの通り、市場は前週末の日銀会合の結果を緩和政策維持でかなりハト派であったとする見方が優勢だ。

YCCの微修正に至ったものの、物価見通しの数値に注目が集まった。

日銀が発表した物価見通しで、来年度以降のコアCPIを2024年度は前年比+1.9%へ下方修正、2025年度は同1.6%の据え置きとしたことに着目している投資家が多いようだ。

つまり、上記の見通しだと、基調的なインフレ率は2%に達しておらず、YCCを多少修正してもマイナス金利を含めた緩和政策を撤廃するには程遠いと安心できる結果となったわけだ。

前週末からドル高円安へ

YCC修正前夜の日経リーク記事が報道される前まで141円台だったドル円は、記事が出た後から日銀会合までに138円台前半まで円高が進行した。

その後、日銀会合の発表内容を噛み砕いていくと落ち着きを取り戻し、結局のところ中期的に日米金利差に変化はなく、ドル高円安の流れに戻っていった。

YCC修正によって長期金利の許容上限幅が1.0%になったことで、長期金利は9年ぶりに0.6%台へ到達。日銀は上限を1.0%としているが、どの程度の水準を意識しているのか探りが入ったような展開だ。

臨時の買い入れオペ実施

植田総裁は先日の質疑応答で、「今後0.5%を超えて動く場合は機動的に対応することになる。 長期金利が1%まで上がることは想定していないが、念のため上限を設定した。」と語っていたが、本日は長期金利が0.6%あたりの午前に臨時の買い入れオペを実施した。

この臨時オペにより利回り上昇が止まったことも、ドル高円安の流れを強めた。

日米の利回りがさらに開ければ、それだけドル高円安にもなるわけだが、市場では長期金利の許容上限である1.0%までの上昇ペースや安定するレンジを手探りで見極めている状況だ。

そのような観点からすると、今回の臨時オペはやや意外だったかもしれない。

米PCEは想定より低下、雇用統計まではインフレ見通し良好

国内の日銀動向に加えて、前週末の米PCEの数値も株高へ作用している。

FRBが重視している6月のPCEデフレータは前年比+3.0と前月の3.8%から0.8ポイント下落した。

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米PCEデフレータ 6月

そして、PCEデフレータのうちさらに重要なコアPCEデフレータは前年同期比+4.1%でまだ高水準ではあるものの、前月の4.6%から大幅なインフレ減速となった。なお、予想は+4.2%だった。

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米PCEコアデフレータ 6月

ここで再度思い出して頂きたいが、(最新の7月ではなく)6月のFOMC会合でパウエル議長らFOMCメンバーが予想していた年末時点のコアPCEは+3.9%だった。

そして6月のコアPCEは+4.1%となった。

これは前年の同月比なので、言葉通り前年の同月の数字よって左右されてしまうものの、かなり目標に近づいたと言える。

そして、「年末のコアPCEが3.9%ならば年内2回利上げ」と6月会合で示していたが、それを年末より前倒しで達成できるならばこれ以上の利上げは不必要となる可能性は高い。

ただ、次の会合までの間には、8月末にもPCEが発表されるので今結論付けるのはまだ早いだろう。

ひとまず今言えるのは、日本国内、米国のどちらも株高要因が強く、短期的には市況は良さそうだ。あとは個別企業の決算と今週末の米雇用統計でどこまで賃金上昇が抑えられているかが重要となる。

それでは今週も頑張りましょう。