投資と経済 GOEMON

会社経営10年目のアラサー🏙️/2023年6月からブログ執筆本格開始/ 株式投資や社会人のスキル向上に役立つ記事を書いています。

原油価格マイナス! ガソリンが無料にならない訳と先物取引について

どうも、GOEMON(@goemon_tokyo)です。

土日はゲームやベンチャーのニュースが少ないので、ニュース記事更新はお休みです。暇だったので、最近話題になっておりました原油価格がマイナスな件について、忘備録的にまとめておきます。

個人的には先物に手を出したこともなく、今後も出す予定はないのですがGWも暇なのでね、知識詰め込んでおきやした。

原油先物価格マイナスの要因

始めに原油先物価格が暴落した流れを大まかに記すと

①新コロ影響で人の移動と工場稼働率減で原油の需要が減少
②原油を貯蔵するタンクのキャバシティーが限界に
③投資家:原油先物価格が下落しているので売りたい
④原油貯蔵企業:キャパ限界なので売りたい
⑤買い手がいない

という具合です。他にも原産国であるサウジアラビアやロシア間での減産合意が一度決裂したりなんだりという政治絡みの要因もあるようです。

上記の流れを踏まえて先物取引と暴落したWTI原油について把握しておきましょう。

先物取引とは

1.将来の予め定められた期日に
2.特定の商品(原資産)を
3.現時点で取り決めた価格
で売買する事を約束する取引です。
引用:https://www.jpx.co.jp/learning/derivatives/futures/index.html

今回マイナス価格になった、「WTI原油5月限」(2.特定の商品)という商品は4月21日(1.将来の予め定められた期日)までに取引ができるものでした。6月限であればまた来月、7月限であれば再来月というようにWTI原油は一限月ごとに取引できるい商品があります。

WTI原油5月限に関しては、4月21日の期日前に安く買って高く売れた人は儲かるし、高く買って安く売った人は損をする。期日前に売買してポジションを持ったままで満期となると最終決済がされて損益が確定するというわけです。

上記のみであれば、勝った負けたなのでまだ良いのですが、問題なのは、WTI原油はお金のやり取り(差金決済)だけではなく、最終的には現物での決済になるため、取引最終日までに売買を完了しなければ実際に商品を受渡をする義務が発生するという点です。

当然ながら、買っていた人は売り手から原油を受け取らないといけませんし、売って(ショート)いた人は原油を買い手に渡さなければなりません。

ちなみに、東京商品取引所の中東産原油(ドバイ原油)は現物決済はないので、期日にポジションを持っていたとしても現物の受け渡しは必要なく、損益が確定するのみになっています。

売り手売り手売り手市場

WTI原油の売買を行う企業には飛行機を飛ばすために原油を安定した価格で確保しておきたい航空会社や、工場の稼働費用を予め決めておきたい製造業や化学産業、電力会社などが含まれます。

その他、投機目的のヘッジファンドやインデックスファンドといった投資家も取引をしています。

実際に原油を使用する企業は新コロの影響で飛ばす飛行機が少なくなり、工場の稼働率も低くなり、当然ながら原油を必要とする量も減少します。

投機目的で買いポジションを保有していたファンドは価格が下落することもそうですが、満期になり実際に原油を受け取っても貯蔵するタンクを用意しなければなりませんので、今のうちに売り払いたい。

石油会社は暴落している5月限で売りたくなくとも、貯蔵タンクのキャパシティーを越えて貯蔵することは出来ないため、売りたい。

となると、買い手がおらず、みんなが売りたい状態となってしまいました。

普段であればファンドは5月限を期日前までに精算して、6月限に買い替える「オーバーロール」をするのですが、今回の5月限はそもそも買い手がつきませんのでそうもいかず。

ファンドは原油を受け取ることも現実的ではなく、石油会社もタンクがいっぱい、こうして、お金を払ってでも誰か買ってくれ。という状態に陥りWTI原油5月限はマイナス価格になったというわけです。

生産を止められないのか

原油価格がマイナスになったのはわかったとして、タンクがいっぱいなのになぜ生産を止めないのか。当然ながら沸くこの疑問。

拙者も原油は専門外なので、専門家の方々のブログやHP等を見てふんふんするしかないのですが、原油の生産は簡単に「はい、止めます」というわけにはいかないようです。

この辺についてはnote内でエネルギー関連の記事を書かれております「大場」さんが詳しく解説されています。
https://note.com/noriakioba/n/n10da89d934f0

ガソリンがタダにはならないのか

最後に、原油を金払ってでも受け取って欲しいとなってるのに、ガソリンは無料にならないの?という疑問についてですが、こちらは主に2つの理由でなりません。

一つ目に、今回暴落したWTI原油は日本の輸入している原油とは別ものです。

WTI原油の他に、イギリスはロンドンで取引されている北海油田で産出されている「ブレント原油」、先ほど出て来た東京商品取引所の「中東産原油」がありますが、日本の輸入はこの中東産原油(ドバイ原油)価格が基準となっています。

参考:内閣府資料 https://www5.cao.go.jp/keizai3/2004/1219nk/pdf/04-1-2.pdf

では、中東産原油価格も下落傾向にあるので、仮にこちらもマイナス価格となればガソリンはタダなのかと言いますともう1つの理由、税金があるためそうはなりません。

揮発油税や地方揮発油税、関税、消費税等、色々な税金がかかりガソリン代の5割近い税金がかかっている上に、流通コストなども当然ながらかかります。

そのため、原油価格が暴落しようとも企業が消費者に無料で配れるということはなく、安くなる程度で収まるというわけです。

長々と書いてしまいましたが、正直、原油価格含め先物商品がマイナスになり得るとは今まで知らなかったので何でそんなことになんの?とニュースを見た時には拙者も思ったわけですが、調べてみるとなるほどな、となる理由でしたので出来る限りわかりやすくまとめてみました。

先物取引、WTI原油の現物決済、日本の原油は中東産原油、ガソリン代は無料にはならない、気になっていた部分が明快になれば幸いです。

ではまた!