投資と経済 GOEMON

会社経営10年目のアラサー🏙️/2023年6月からブログ執筆本格開始/ 株式投資や社会人のスキル向上に役立つ記事を書いています。

円安株高は鮮明に。ドル円は145円まで障壁無しか


日銀会合後、円安・株高の流れが鮮明だ。

8月1日(火)の東京株式市場は大幅続伸し、日経平均株価は33,476円で取引を終えた。7月3日に付けたバブル期以来最高値の33,753円まであと一息という所まで来た。

その最高値からのここ一ヶ月間はYCC修正懸念や米政策金利動向の不透明や、それまで上昇してきた日本株の利益確定売り、年金基金のリバランスやETFの分配金捻出による需給面の悪化から株価は一進一退だった。

その均衡を破ったのがYCCの現行維持ではなく、柔軟化という名の修正だったことは意外だった。

昨日も触れたが、日銀会合前夜の深夜2時にリークされた日経新聞の報道後から、YCCの修正によって日銀がタカ派転換したとも受け取られた。

しかし、内容を精査すると来年度の物価見通しを下方修正したことも考慮すれば、しばらくの間は金融緩和政策撤廃はないという安心感に繋がった。

日銀の長期金利0.6%での買い入れオペ

緩和政策維持の安心感の一方で唯一不明瞭だったのは、長期金利±0.5%を目処にしながらも1.0%を上限という指値オペだ。

さっそく金融市場は日銀に探りを入れるべく、10年債は利回りが急上昇。7月31日に利回りが0.6%程になったところで日銀の臨時買いオペが入った。

これにより、ドル高円安が加速した。

何故かといえば、日本の長期金利は1.0%を上限と言ってはいるが、現段階では0.6%の利回りで上昇を止めるためにオペを入れて来るほど、金利上昇の許容ペースは早くないと確認できたからだ。

今まで0.5%が上限だったわけだが、YCC修正後もいったん0.6%程度で落ち着くことがわかった。市場参加者たちは、日米金利差はかなり開いたまましばらく推移すると確信が持てたのだ。

だから為替市場では、日銀会合前後で変わったことはなく引き続き、ドル高円安となっている。

この円安と金融緩和維持の安心感の2点から、日本株は上昇している。

円安の企業業績への織り込み余地はまだある

年初から日本株は上昇してきたが、ここへ来てもう一弾上昇する余地があるのは企業の業績見通しに円安が反映されていない余地があるからだと思っている。

というのも、日経新聞によると主要企業84社の2023年度のドル円平均想定レートは131.68円。

現在143.38円だから、8.9%ほど円安に振れている。米国の金利動向と今回の日銀会合の結果を踏まえると年度内に130円前半台まで円高が進行するのと、140円前後で推移し続けるのとでは、おそらく後者の見通しを持っている投資家が多いだろう。

円安によって企業業績に恩恵を受ける日本企業は多いため、こうした想定レートとのギャップにも確信が持て始めたというのも買いが進んでいる理由のひとつと考えられる。

ドル円は145円付近で介入警戒か

株式市場にとってはプラスとなる円安ではあるが、2日間で5円もの円安を受けて為替介入への警戒も強まりつつある。

鈴木財務相は1日、閣議後会見で「市場においてファンダメンタルズを反映されて決定されるもの。安定的に推移することが望ましい」と以前からの発言を繰り返し強調するに留まっている。

しばらくの間の目安は1ドル=145円で、どの段階で為替介入があるか探りを入れながらの展開となりそうだ。

6月の国内消費は実質で1.1%減少

ナウキャストとJCBの調査によると、クレジットカードのデータに基づく消費は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比-1.1%と減少している。

前年同月比でのマイナスは6ヶ月ぶりで、インフレの影響を受けてモノの消費が-3.8%となっている。サービスの消費は+1.5%だが、コロナの5類移行が5月だったことを考えると、その1ヶ月後のデータとしては物足りないと感じなくもない。

物価は上昇しているが、インフレ疲れを指摘する声も増えてきており、購買が鈍り始める可能性もあるだけに国内消費動向も注視していきたいところだ。

その他、個別企業の決算では大手銀行各社や電力会社などが好調だった。気になる企業の決算に関しては別途、それぞれの銘柄ごとに決算分析をアップしていく予定だ。

ニュースメモ

※記事タイトルにリンク有り
見出しとポイントを引用してあります。忙しい方も毎日ザッと目を通すだけで、なるべく市場動向を把握できるようにしています。

ユーロ圏経済、4-6月はプラス成長回帰-コアインフレはなお根強い

ユーロ圏経済は4-6月(第2四半期)に成長を取り戻した。同時に基調的なインフレはなお根強く、欧州中央銀行(ECB)による追加利上げの必要性を巡る早期の議論を後押しした。

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が31日発表したユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は前期比0.3%増と、3四半期ぶりのプラス成長となった。ブルームバーグがまとめた4-6月期のエコノミスト予想は0.2%増だった。

7月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.3%上昇と、市場予想通りだった。食料品やエネルギーなど変動の大きな項目を除くコアCPIは同5.5%上昇と、前月と同じ伸び率となり、市場予想を若干上回った。

米経済「雇用ある減速」に道筋 利上げ7月で打ち止めか

コロナ禍後の空の旅ブーム、米国で失速の兆し-航空会社業績に暗雲も

米消費者による国内主要航空会社からの直接購入は4-6月(第2四半期)に総じて減少。約2年ぶりに落ち込んだ。ただし、これは一般的なクレジットおよびデビットカードを利用した直接購入に基づく購入データで、旅行予約サイトでの購入や法人販売は除いていることから、全体像を描いているとは言えない。

在庫不足に悩む米住宅市場、ローン金利5%が供給拡大の鍵に

住宅所有者のうち、現行のローン金利が5%超の場合、売却意欲が約2倍に上ることが、不動産会社ジローが行った最新の四半期調査で分かった。ただ、その金利水準で住宅ローンを抱えているのは、全体の約2割にとどまった。

ローン金利が5%以上の住宅所有者では、38%が家を売る予定があると答えた。5%未満の住宅ローンを組んでいる人では、その割合は21%に過ぎなかった。

それでも、4分の1近い住宅所有者が今後3年以内に自宅の売却を検討しているか、現在自宅を売りに出していることも調査で分かった。この割合は1年前の15%から大きく上昇しており、供給が近く増加する可能性を示唆している

日銀YCC柔軟化は円の重しになるだけ、ドル145円に上昇へ-BBH

日本銀行がイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)運用の柔軟化にサプライズで動いたのは政策変更の「中途半端な試み」で、先行き円の重しになるだけだと、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の通貨戦略グローバル責任者ウィン・シン氏は指摘した。

その上で、31日の株式相場上昇と円下落は「市場が日銀を信じていないことを物語っている」と付け加えた。

日銀の年内政策変更の予想は1割未満、YCC柔軟化で急減-サーベイ

ブルームバーグがエコノミスト42人を対象に7月31日に緊急に実施した調査によると、次の政策変更は次回の9月会合がゼロとなり、10月と12月を合わせて年内は7%にとどまった。最多は2024年4月の27%となった。7月会合前に実施した調査(50人が回答)では、年内の見方が過半の58%で、最多は今年10月の28%だった。

昨年12月に続くYCCの修正となり、事実上のYCC終了を意味するかとの問いには「いいえ」が55%、「はい」が38%だった。

具体的な日銀の次の一手に関しては「YCCの撤廃」が最多の32人(回答数112、複数回答可)となり、「短期金利の引き上げ」が24人で続いた。現行マイナス0.1%となっている短期金利の引き上げは全員が24年以降を想定しており、このうち43%が25年以降を見込むなど依然として距離がある。

ドル・円は142円台前半、日銀の金利抑制姿勢で3週間ぶり高値圏

前日の米国市場では約3週間ぶりの高値を付けた。日本銀行がイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の運用柔軟化を決定した後も長期金利の急上昇を抑制する姿勢を示したことが、円売り材料と受け止められており、引き続き日銀と円金利の動向が注目される。

6月の完全失業率2.5% 前の月より0.1ポイント改善

6月の全国の完全失業率は2.5%で、前の月より0.1ポイント改善
女性の就業者数は3065万人と過去最多

6月の就業者数は6785万人で、前の年の同じ月と比べて26万人増え、11か月連続で増加
6月の完全失業者数は179万人と、前の年の同じ月と比べて7万人減っていて2か月連続の減少
この結果、季節による変動要因を除いた全国の完全失業率は2.5%で、前の月より0.1ポイント改善

市場の「ノーランディング」説に警鐘-JPモルガンのコラノビッチ氏

「インフレ鈍化が不完全にとどまることで、景気抑制的な政策が続くと予想している。これによって、民間部門の脆弱(ぜいじゃく)性が増し、世界的な景気拡大が終了するだろう」と分析

コラノビッチ氏によれば、株価バリュエーションは、株式投資家が景気拡大の継続もしくは 「ノーランディング」と同時に金融緩和を予想していることを示唆している。

金融政策引き締めの継続という同氏の現在の予測と、マクロ経済減速という基本シナリオに基づくと、マルチプル(投資尺度)は高過ぎると、同氏は警告する。

中国で深まるデフレ懸念、世界と逆行

インフレ低下の要因、なぜ重要か

2021年には、サプライチェーンの障害があったため、需要がわずかに増加しただけでも物価が大幅に上昇した。現在は逆の状況になっているかもしれない。つまり、需要がわずかに減少しただけで、通常より速いペースで物価が下がる可能性がある。供給が以前より潤沢になりつつあれば、特にその傾向が強まる。

中国 半導体の材料などの希少金属 きょうから輸出規制を実施

中国政府は、半導体の材料などに使われる希少金属、ガリウムとゲルマニウムの関連品目について、きょうから輸出規制を実施します。先端半導体などの輸出規制を行うアメリカや、製造装置の輸出管理を厳しくする日本に対してけん制するねらいがあるとみられます。

電力8社、全社が大幅黒字に 値上げで8000億円押し上げ

31日までに発表した東北電力や中国電力など電力大手8社の2024年3月期の連結最終損益は、計9405億円の黒字(前期は約4170億円の赤字)になる見通し。法人向けを含め電気代の値上げが8000億円規模で収益を押し上げる。

世耕氏、日銀総裁に「目光らせる」 「緩和離脱メッセージ」警戒:時事ドットコム

自民党の世耕弘成参院幹事長は31日、日銀が大規模金融緩和策の一環として実施する長短金利操作の運用を柔軟化したことを受け、「緩和からいよいよ離脱を始めるメッセージが出始めたと思っている。植田和男総裁に目を光らせておかないといけない」と警戒感を示した。

日銀のYCC柔軟化「金融緩和の持続性を高めるもの」-鈴木財務相

鈴木俊一財務相は1日の閣議後会見で、日本銀行が7月の金融政策決定会合で決定したイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の柔軟化は「金融緩和の持続性を高めるもの」との認識を示した。

鈴木財務相は、「具体的な手法は日銀に委ねられるべきだ」と指摘した。その上で、金融政策は「さまざまな経済指標にもちろん影響を与えるわけだが、それについてコメントすることは立場上控えなければならない」と語った。

豪中銀、政策金利4.1%に据え置き-2会合連続

鉄鉱石先物が下落、中国の新築住宅販売額の急減を材料視

不動産開発上位100社の7月の新築住宅販売額は前年同月比33.1%減と、この1年で最大の落ち込みとなった。

鉄鉱石はこの日、1.3%上昇していたが、統計を手掛かりに下落に転じた

日銀再調整見込むトレーダー-日本国債先物の建玉、23年余りで最多

日本国債先物のポジションをトレーダーが23年余りで最も多い水準に積み増している。日本銀行がさらなる政策調整を行うとの観測を強めていることがうかがわれる。

トレーダーが日本国債値下がりを見越していることが示唆される。

英住宅価格、7月はさらに下落-借り入れコストが需要抑制

米ISM製造業総合景況指数、7月は46.4に上昇-市場予想は46.9

円一時143円台、1カ月ぶり円安水準 2日で5円下落

日銀は急激な金利の上昇までは容認しないとみられている上に、好調な経済情勢を背景に米金利も高止まりしている。内外の金利差がこれ以上縮まる可能性は低いとみた投資家が円を売る構図になっている。

鈴木財務相「為替、安定的推移望ましい」 円安進行受け

「安定的に推移するのが望ましい。市場の環境も変わっているなかで動向をしっかり見守りたい」

信用買い残465億円減少、日銀修正で買い持ち整理も

東京証券取引所が1日発表した7月28日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は3兆6238億円と、前週と比べ465億円減少した。買い残の減少は4週ぶり。決算発表の本格化を前に積極的な買いが手控えられたほか、株価下落を見越し買い持ち高を解消する動きもあった。

長期国債入札、利回り9年ぶり高さ 財政負担増の懸念も

財務省が1日実施した10年物国債入札は、政府の利払い負担となる平均落札利回りが9年ぶりの高水準となった。日銀の政策修正で長期金利に上昇圧力がかかったためだ。金利上昇が続けば利払い費が増え、政府の財政に影響を与えかねない。

債券15時 長期金利、0.595%で横ばい 入札「低調」で売買交錯

日の国内債券市場で長期金利は横ばいだった。指標となる新発10年物国債の利回りは前日と同じ0.595%で推移している。日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用の柔軟化を決めてから初めてとなった10年物国債入札は「低調」な結果となった。

6月の消費は実質1.1%減、6カ月ぶりマイナス 民間調べ

ナウキャスト(東京・千代田)とJCB
物価変動の影響を除いた実質で前年同月から1.1%減少した。2022年12月以来6カ月ぶりのマイナスとなった。

家電を中心に低調で、モノの消費は前年同月比で3.8%減だった。サービスの消費は1.5%増えた。

ナウキャストが物価変動の影響を除いた実質の月次消費データを公表したのは初めて。6月の消費は名目では前年同月比で2.9%増えた。物価高を映し出している。

実店舗系アプリ利用増、外食・小売り デジタル融合加速

実店舗の店頭での利用を前提とした上位50アプリの合計MAUは23.6%増の1億6090万人となった。
※(前年同期比?)

MAUが最も多いのは日本マクドナルドの「マクドナルド」(前年同月比15.4%増)だった。2位のセブン―イレブン・ジャパンの「セブン―イレブンアプリ」は37.3%増で、MAUが過去最高を記録した。

「ローソン」(55.0%増)、ファミリーマートの「ファミペイ」(38.6%増)
「しまむら」で前年同月比7.3倍

日銀会合の結果、市場は緩和政策維持でハト派と受け止める展開に

7月31日、YCC修正から週末を挟んでの東京株式市場は大幅高となった。

日経平均は前週末比+412.99円の33,172.22円、TOPIXは1990年7月以来の高値2,322.56を付けて引けた。タイトルの通り、市場は前週末の日銀会合の結果を緩和政策維持でかなりハト派であったとする見方が優勢だ。

YCCの微修正に至ったものの、物価見通しの数値に注目が集まった。

日銀が発表した物価見通しで、来年度以降のコアCPIを2024年度は前年比+1.9%へ下方修正、2025年度は同1.6%の据え置きとしたことに着目している投資家が多いようだ。

つまり、上記の見通しだと、基調的なインフレ率は2%に達しておらず、YCCを多少修正してもマイナス金利を含めた緩和政策を撤廃するには程遠いと安心できる結果となったわけだ。

前週末からドル高円安へ

YCC修正前夜の日経リーク記事が報道される前まで141円台だったドル円は、記事が出た後から日銀会合までに138円台前半まで円高が進行した。

その後、日銀会合の発表内容を噛み砕いていくと落ち着きを取り戻し、結局のところ中期的に日米金利差に変化はなく、ドル高円安の流れに戻っていった。

YCC修正によって長期金利の許容上限幅が1.0%になったことで、長期金利は9年ぶりに0.6%台へ到達。日銀は上限を1.0%としているが、どの程度の水準を意識しているのか探りが入ったような展開だ。

臨時の買い入れオペ実施

植田総裁は先日の質疑応答で、「今後0.5%を超えて動く場合は機動的に対応することになる。 長期金利が1%まで上がることは想定していないが、念のため上限を設定した。」と語っていたが、本日は長期金利が0.6%あたりの午前に臨時の買い入れオペを実施した。

この臨時オペにより利回り上昇が止まったことも、ドル高円安の流れを強めた。

日米の利回りがさらに開ければ、それだけドル高円安にもなるわけだが、市場では長期金利の許容上限である1.0%までの上昇ペースや安定するレンジを手探りで見極めている状況だ。

そのような観点からすると、今回の臨時オペはやや意外だったかもしれない。

米PCEは想定より低下、雇用統計まではインフレ見通し良好

国内の日銀動向に加えて、前週末の米PCEの数値も株高へ作用している。

FRBが重視している6月のPCEデフレータは前年比+3.0と前月の3.8%から0.8ポイント下落した。

画像
米PCEデフレータ 6月

そして、PCEデフレータのうちさらに重要なコアPCEデフレータは前年同期比+4.1%でまだ高水準ではあるものの、前月の4.6%から大幅なインフレ減速となった。なお、予想は+4.2%だった。

画像
米PCEコアデフレータ 6月

ここで再度思い出して頂きたいが、(最新の7月ではなく)6月のFOMC会合でパウエル議長らFOMCメンバーが予想していた年末時点のコアPCEは+3.9%だった。

そして6月のコアPCEは+4.1%となった。

これは前年の同月比なので、言葉通り前年の同月の数字よって左右されてしまうものの、かなり目標に近づいたと言える。

そして、「年末のコアPCEが3.9%ならば年内2回利上げ」と6月会合で示していたが、それを年末より前倒しで達成できるならばこれ以上の利上げは不必要となる可能性は高い。

ただ、次の会合までの間には、8月末にもPCEが発表されるので今結論付けるのはまだ早いだろう。

ひとまず今言えるのは、日本国内、米国のどちらも株高要因が強く、短期的には市況は良さそうだ。あとは個別企業の決算と今週末の米雇用統計でどこまで賃金上昇が抑えられているかが重要となる。

それでは今週も頑張りましょう。

FOMC結果公表間もなく、日銀動向は企業物価鈍化でYCC修正観測はさらに後退か

7月27日、AM3:00に米政策金利が発表される。

何度も書いて来たように、今回のFOMCでは0.25ポイントの利上げが既定路線だ。問題は9月、11月の会合でどう判断するかだが、現時点でのポイントを下記の記事にまとめておいたので、詳しくはそちらを参照して欲しい。段落ごとに短く区切ったので、時間がなくてもササっと読めるかと思う。

パウエル議長の会見や声明文などは明日か週末に改めて確認していこう。

なお、昨日の日刊記事で振れていた米住宅市場の最新の指標が発表された。こちらは昨晩Twitterに書いたものを貼っておく。

日銀会合

FOMCの後は28日に日銀会合も控えている。こちらはYCCを修正するのか否かがトピックだが、本日の昼間に日銀が発表した企業向けサービス価格指数が前年同月比+1.2%となり、前月から0.5ポイント縮小した。

インフレ圧力が鈍化したと受け止められ、5年債と10年債は利回りが低下した。債権市場ではYCC修正観測がやや後退したことになる。

それでもなお、今日も今日とて金曜日の会合でYCC修正を予想するエコノミストやアナリストの意見を取り上げた記事が散見された。まぁまず無いだろうが、何故あると思うのだろうか。理解に苦しむ。

YCC修正に関する記事は大量に書いたので、興味があれば下記の記事などに目を通しておいて頂きたい。

書き過ぎである。が、せっかく調べたら書きたくなる性格なので仕方がない。

余談

さて、国内企業の決算発表が本格化してきており、本日は私のポートフォリオの中のサイバーエージェントカプコンが決算を発表した。

話題になったのでご存じの方も多いかと思うが、サイバーエージェントはかなり悪いサプライズだった。カプコンは想像以上の好調さをキープしている。

これを受けて、サイバーエージェント損切りすることにした。基本的に購入したら数年間から半永久で保有する予定だったのだが、あまりにも想定していたシナリオから乖離しそうな内容の決算だった。

本日終値時点で含み損が-10.66%。明日どのくらいで約定できるか不明だが、しょうがない。勉強代として諦めるとする。

なお、カプコンは本日終値時点で含み益+36.48%となっているので、明日以降の推移によっては、昨年のまんだらけに続いて+50%を越えてきそうだ。

ちなみに今年前半に早々と損切りしたシマノはやはり業績がさらに悪化してしまい、しばらく低迷しそうだった。これら損切りした銘柄は今後もチェックして、充分に割安な水準となったら再購入を検討する。

ニュースメモ

※記事リンクはタイトルに。

IMF、世界成長見通し3%に上方修正-リスクバランスは依然下向き

国際通貨基金IMF)は今年の世界経済の成長見通しを上方修正した。米国がデフォルト(債務不履行)を回避し、米欧の当局が銀行危機を食い止めたことから、ここ数カ月でリスクは和らいでいるとの見方を示した。

2023年の世界経済成長率予想を3%に引き上げた。昨年の3.5%成長からは減速だが、4月時点予測の2.8%よりは高い。

全米の住宅価格指数、4カ月連続で上昇-需要の強さと在庫逼迫で

5月の全米住宅価格指数、前月比0.7%上昇-前年比では0.5%低下
主要20都市の住宅価格指数、前年比1.7%低下-市場予想2.4%低下

「5月のデータは、今年1月を最後に低下局面を脱したとの論拠を強めた」と発表資料で指摘。

7月の米消費者信頼感指数、2年ぶり高水準-雇用市場を楽観視

コンファレンスボードが発表した7月の米消費者信頼感指数は2年ぶり高水準となった。

7月の米消費者信頼感指数は117に上昇
エコノミスト予想の中央値は112

前月は110.1(速報値109.7)に上方修正

7月は「雇用が十分にある」との回答比率が上昇。「職を得るのは困難」との回答比率はこれまでの最低水準近くに低下した。6カ月後の労働市場への期待も改善した。

購入計画はまちまち。自動車や住宅の購入計画が増えた一方、冷蔵庫や洗濯機のような主要家電製品の購入計画は減少した。

金融業界、「水不足リスク」への対応で大きく出遅れ-ジェフリーズ

詳しく調べてみると良さげ。

ドル・円は141円付近、経済指標良好で米利上げ継続観測がドル下支え

良好な経済指標を背景とした利上げ継続観測が下支えした。

グーグル、4-6月期に増収加速 CFO交代へ

米グーグルは4-6月期(第2四半期)の決算で売上高の伸びが加速し、オンライン広告市場の回復が続いていることを示した。

新型コロナウイルス禍後に減速が続いた後、グーグルが2四半期連続で成長を加速させたことが示された。

グーグルの広告収入は約3%増の580億ドル。ユーチューブ部門の広告収入は4.4%増の77億ドルで、前年同期比で増加したのは2022年4-6月期以来。

スポティファイ株下落、売上高が予想に届かず-ユーザー数は伸びる

音楽ストリーミングサービスのスポティファイ・テクノロジー株は25日のニューヨーク市場で、14.3%安で終了した。

4-6月の売上高は11%増の31億8000万ユーロ(約4950億円)で、アナリスト予想平均の32億1000万ユーロを下回った。

4-6月期の月間アクティブユーザー数は5億5100万人だった。予想を上回る27%増となったものの、ユーザー1人当たりの平均売上高が減少し続けている

米TIの7-9月売上高見通し、市場予想下回る-時間外で株価下落

アナログ半導体大手の米テキサス・インスツルメンツ(TI)は25日、7-9月(第3四半期)の業績について低調な見通しを示し、エレクトロニクスの主要な種類への需要低迷が長引いていることを示唆した。

発表資料で、自動車業界は好調だったが、他の分野は振るわなかったと指摘。

国内社債発行、7月は1年9カ月ぶり規模-日銀政策修正巡り思惑

日本企業の7月の社債発行額が26日までに2兆円に達し、月間ベースでは1年9カ月ぶりの規模となった。

景気判断、消費回復で全国引き上げ 財務省7月報告

財務省は26日、7月の経済情勢報告をまとめた。全国の景気判断を1年6カ月ぶりに引き上げた。

全国財務局長会議で報告

全国の総括判断を「緩やかに回復しつつある」とした。2023年4月の前回判断は「緩やかに持ち直している」だった。判断の引き上げは22年1月以来、6四半期ぶりになる。

ビーンショック、高級品にも NYカカオ豆12年ぶり高値

ブラジルの新たな鳥インフルしかり、水問題しかり、気候変動や自然災害によるインフレへの影響も無視できない。

企業向けサービス価格、6月1.2%上昇 伸び率は縮小

日銀が26日発表した6月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は108.4と、前年同月比1.2%上昇した。28カ月連続でプラスだった。伸び率は0.5ポイント縮まった。

広告は前年同月比で2.9%のマイナスだった。コスト高が続くもとで企業が出稿を控える動きが目立った。宿泊サービスはインバウンド(訪日外国人)の回復の影響で30.8%上昇したが、プラス幅は前月(41.9%)に比べ縮小した。

日銀の政策修正、4割が「7月にも」 エコノミスト調査

少し増えた模様。まず無いだろうが。

広告費2.6%増に上方修正 日経広告研予測

日経広告研究所は2023年度の広告費が22年度に比べて2.6%増えるという予測をまとめた。2月時点の見通し(1.5%増)から上方修正した。海外経済が堅調に推移するなか、インバウンド(訪日外国人)需要がけん引し、日本経済は景気回復を続ける公算が大きい。

インターネット広告は6.8%増を見込む。

物価基調、6月3.0%上昇

昨日Twitterでまとめた

全国スーパー売上高、6月2%増 品数減少でも単価は上昇

日本チェーンストア協会(東京・港)が25日発表した6月の全国スーパー売上高(新店を含まない既存店ベース)は前年同月比2.1%増と4カ月連続で前年を上回った。相次ぐ値上げで単価が上がった。物価上昇を受けた節約志向もあり、買い上げ点数は落ちこんでいるという。

売上高の7割を占める食料品の売上高は3.7%増だった。そのうち、手軽に食べられる総菜の販売は6%増と好調が続いている。

最低賃金、1000円以上へ大詰め 中小企業は慎重

2023年度の上げ幅は約30年ぶりに前年度比4%を超える見通しで全国平均で初めて時給1000円以上となりそうだ。

現在の最低賃金は全国平均で961円。

水産取扱額4.8%増 6月の東京市場

6月の水産物の取扱総額は383億円1856万円と、前年同月に比べて4.8%増えた。

取扱数量は3.2%減った。海そう類が13.3%減、加工品が14.9%減と大きく落ちこんだ。

5年債利回り、3週間ぶり低水準 政策修正への警戒薄れる

国内債券市場で新発5年物国債の利回りが低下(価格は上昇)し、前日比0.020%低い0.090%を付けた。7日以来およそ3週間ぶり低水準。

債券15時 長期金利、0.445%に低下 幅広い年限で買い優勢

新発10年物国債の利回りは前日比0.015%低い(価格は高い)0.445%を付けた。

忘れてはならないFRBのタカ派姿勢と年内利上げ可能性の判断材料


7月のFOMC会合で0.25ポイントの利上げが確実視される中、市場の注目は年内にもう1回利上げがあるか否かに集まっている。

7月24日時点では年内の利上げ確率はそれぞれ下記のように織り込まれている。
・9月下旬会合:16.0%
・10月末会合:27.9%

市場では7月に0.25ポイントの利上げをした後、9月は利上げを見送り、10月31日、11月1日のFOMC会合で0.25ポイントの利上げがあるという見方が27.9%を占めている。

逆に言えば、9月は80%以上、10月末は約70%が利上げが行われずに7月の利上げが今回のサイクルで最後になると見ている。今週のFOMC会合後、PCEの発表後にどのように市場予想が変化するか来週振り返るとしよう。

さて、今回は過去数ヶ月のFOMCメンバーやFRBパウエル議長らの発言やインタビューから、7月会合後に利上げがあるか否かを検討していく。

忘れ去られた6月、7月初旬のタカ派姿勢

6月のFOMC会合、議会証言、ECB主催の国際フォーラムでのパネルディスカッションでパウエル議長が何度も示したタカ派姿勢を覚えているだろうか。

6月はFOMC会合でのパウエル議長

まず6月のFOMC会合での政策金利据え置きは、タカ派寄りだったことを思い返して欲しい。

会合後に公表された議事要旨では、全会一致で利上げを見送ったものの一部のメンバーは6月の会合で利上げを支持していたことがわかった。市場では政策金利据え置きの予想が大多数を占めていた6月の会合ですら、中には利上げを支持するメンバーが居たのだ。議事要旨が公開された際に、このことは少しのサプライズとして受け止められた。

そして、その会合後の会見でパウエル議長は「ほぼすべての参加者がさらなる金利の変更(利上げ)を必要だと考えている」と発言している。

ターミナルレートの見通しは5.6%

6月のFOMC会合ではターミナルレートの見通しが5.6%に引き上げられた。FFレートが5.5%~5.75%、つまり今の水準から0.5ポイント高い政策金利だ。

今月発表されて大きく下振れたCPIを見ていない段階での会合だったとは言え、様々な指標がインフレ減速の兆候を示している中でもターミナルレートを据え置くのではなく、引き上げたことは頭の片隅に入れておくべきだろう。

さらに付け加えておきたいのは、この会合時よりも現在の方が銀行不安に関する懸念が後退している点だ。

6月会合時点ではまだ金融機関への不安が払拭され切っていないかったため、利上げ見送りの理由のなかには銀行不安の影響が含まれていただろう。

先週の大手銀行の決算を見ればわかるように、その不安は今やほぼ取り除かれつつある。

議会証言で繰り返し強調したインフレ退治の「長い道のり」

6月21日には下院金融サービス委員会、22日には上院銀行委員会でパウエル議長による証言があり、そのどちらでもインフレ率を2%に戻すには「長い道のりがある」とし、年内2回の利上げの正当性を強調した。

6月のFOMC会合で示したドットプロットでターミナルレートが5.6%に引き上げられたことについて、「米経済がほぼ予想通りのパフォーマンスなら、実際にそうなる可能性を極めて的確に反映した推測だ」と説明している。

また、政策金利が充分に引き上げられても、経済がほぼ予想通りに推移するならば、「年内に恐らく2回の利上げを行うことが適切だろう」とも述べている。

6月会合後にコアPCEに変化はあるのか

予想通りの米経済のパフォーマンス

では、パウエル議長やFRBがどの経済指標を見て予想通りに推移しているか否かを判断しているのか。

それはコアPCEだ。

この指標が予想通りに推移していたら、年内2回利上げ。下振れたら利上げは1回で済むかもしれない。上振れたらさらに引き締め度合いが強くなるかもしれないと理解して良いだろう。

FRBは様々な指標を総合的に見てはいるものの、インフレに関してはコアPCEを最重要視している。FOMC会合後の会見でもパウエル議長が何度もコアPCEの物価指数について言及しており、この指数が高止まりしていることを利上げ継続の理由としてあげている。

3週間前に私の週間展望に記載した段落をもう一度記載しておく。

6月のFOMC会合で「コアCPIが低水準で推移しているのになぜ追加利上げを示唆するのか?」との質問に対して「個人消費支出(PCE)物価指数のコアをみても、ここ6カ月あまり進展がみられず、目標をはるかに上回る4.5%以上の水準で推移している」とパウエル議長は回答した。

さらに他の回答でも繰り返し、コアPCEに言及している。

https://note.com/goemonbiz/n/n2280a654b069

「(FOMC)参加者は、23年末のエネルギーと食品を除くPCE物価指数の上昇率は3.9%になると予想している。つまり、継続してインフレ率が上昇している。我々がもっと努力する必要があるということを物語っている」

FOMC参加者は、PCE物価指数のコアの上昇率が今年末までに3.9%に下がると考えている。大幅な前進を期待している。我々は透明性を確保し、インフレを下げることに注力する」

日経新聞

6月のコアPCEはわずかに減速

そのコアPCEは6月末に発表されたのだが、どうだったかと言えば、前年同月比+4.6%となっている。

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コアPCE推移

7月に発表される最新のコアPCEはFOMC会合後になるため、参考になるのは6月末のコアPCEということになる。先日、市場予想を下回ったコアCPIも考慮されるだろうが、最終的にはコアPCEを見なければならない。

CPIとPCEではデータソースが違うことに加えて、計算方法も異なるからだ。そして、FRBがPCEの方を重視しているのは、PCEが米国のGDPの大部分を占める個人消費支出を反映しているからだ。

※参考までにコアPCEとコアCPIを重ねたグラフを置いておく。CPIが低下したからといって、PCEも低下するとは限らないとわかるだろう。

画像
濃い青:コアPCE、薄い青:コアCPI

コアPCEはピークを付けたことはわかるものの、高止まり感もあり減速に確信が持てる推移とは言い難い。

FOMC後の28日に発表される6月のコアPCEは前年比+4.2%と前月の+4.6%から大幅の減速が予想されているが、結果を見ないことにはわからない。今年1月には予想+4.3%に対して結果+4.7%と0.4ポイントも乖離していたこともある。

GDPの算出に使用されるコア小売売上高は前月比+0.6%

参考までにもうひとつ。18日に発表された米小売売上高のうち、GDPの算出に使用される「飲食店、自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高(コントロールグループ)」は前月比+0.6%で予想の+0.3%を上回った。

小売売上高の中で唯一のサービス分野である飲食店は前月比+0.1%と前月の1.2%から減速したものの、コア売上高が0.6%増加している点は見逃せないだろう。

ところどころで消費が鈍っている様子が伺えるが、米国の個人消費はまだ底堅く推移しているとも取れるデータだ。

年末のコアPCEは3.9%から下振れる可能性はあるか

さて、最終的には7月のFOMC会合でメンバーらが直近の経済指標を受けて、予想していた年末のコアPCE 3.9%という数字から見方を変えるかどうか。

私の予想では、7月の会合段階ではほとんど見通しを変えないのではないかと思われる。というのも、今会合後のスケジュールには余裕があるからだ。

FOMC会合:9月19日,20日
FOMC会合:10月31日,11月1日

7月の会合後に9月19日まで1ヶ月半の期間があり、その間に7月末、8月末と2ヶ月分のコアPCEを含めたデータを確認できる。

さらに9月の会合でも判断がつかなければ、9月末、10月末と追加で2ヶ月分のデータを見た上で10月末のFOMC会合で決定することも可能だ。

今回の7月会合は会合間で1月分のコアPCEしか発表されておらず、これだけで見通しをどうこうするのは難しいものと思われる。少なくとも9月の会合までの2ヶ月分のコアPCEを見てから判断したいはずだ。

曖昧なデータの段階でコロコロと見通しを変えるべきではないからだ。

7月FOMC会合はタカ派メッセージ発信の可能性

ここまで読むと、6月のFOMC会合からタカ派姿勢を貫いてきたパウエル議長率いるFRBがCPI下振れを理由にインフレ退治が完了したと断言するとは思えないだろう。

現時点でのターミナルレートの見通しは5.6%であり、コアPCEの年末予想が変わらないのであればターミナルレートも変わらない。

そして、6月会合からの1ヶ月ちょっとの間で発表されたデータからは、コアPCEの年末見通しを3.9%から引き下げるために確信を持てる材料としては少し足りなかったように感じられる。

結果、7月のFOMC会合ではドットプロットも大きくは変化せず、今会合での0.25ポイントの利上げと、もう1回の利上げを予定する形を維持することになるのではないだろうか。

市場では70%以上が7月の利上げが最後と踏んでいるため、上記のような結果になれば普通ならタカ派的なメッセージとして捉えられる。しかし今の市場にはFRBのドットプロットなんて気にせず、というトレーダーも多数居るため、少し強めのメッセージも添える形で市場の過熱感を冷やしにかかる可能性が高いだろう。

そして、最終的な判断は8月と9月のコアPCEを筆頭に他の経済指標を見てからとなりそうだ。

年内残りの利上げに関して、様々な憶測が飛び交う中、私のこの記事もそのひとつということになるが、読んでくださった方の参考になれば幸いだ。

それではまた!

無風のCPIを受けて日銀物価見通しは2.6%前後へ上方修正と予想、ドル円はロングのチャンス


Bloombergの伊藤純夫記者、藤岡徹記者が「事情に詳しい複数の関係者への取材で」日銀は現時点でYCCの副作用に緊急に対応する必要性は貧しいとみていると報じた

この報道でYCC修正観測がさらに後退し、円売り圧力が高まった。記事執筆時点でドル円は141.75円となっている。

ちょうど昨日の日刊レポートで下記のように日銀の動きについて予想していた。

日銀はもう少し物価目標を安定的に達成できると確信が持てる材料を欲していると思われ、次の会合までの時間稼ぎをしたいと考えているはずだ。

CPI発表前の段階では、今会合でYCCを急いで修正する逼迫した理由はないため、出来ることなら、持続的、安定的に2%の物価目標を達成できる地盤が固まるまで待つと予想できる

そして、YCCを急いで修正する理由となる可能性があるのが、本日8:30に発表されるCPIなわけだ。もし仮に、6月のCPIが一気に跳ね上がるようなことがあれば、ムードは一転してYCC修正へ傾く。

https://note.com/goemonbiz/n/n72e3c2efc4e6

同じような内容の報道が出てきたわけだが、日銀のこれまでの資料と植田総裁、内田副総裁の発言の原文や元動画をしっかりと見ていれば、このような予想になるのは自然だ。

なぜか数週間前から日経新聞の内田副総裁へのインタビュー内容が「YCC修正の可能性を否定しなかった」という理由でYCC修正観測が強まったという報道が各社から多く配信されていたが、どう読んでもそのような発言とは捉えられないインタビュー内容だったため、困惑されていた方も多いと思う。

そうした報道が増え、YCC修正観測が変に強まったこともあり、植田総裁がG20後に緩和政策の維持をチラつかせる発言をしたとも思える。

さて、報道では事情に詳しい複数の関係者が私と同じくYCCを急いで修正する必要性が薄れていると感じているわけだが、記事を鵜呑みにするのは危険だ。

この一文を再掲しよう。

そして、YCCを急いで修正する理由となる可能性があるのが、本日8:30に発表されるCPIなわけだ。もし仮に、6月のCPIが一気に跳ね上がるようなことがあれば、ムードは一転してYCC修正へ傾く。

6月の全国消費者物価指数は予想通り

7月にYCCを修正する必要が生じるのであれば、残される可能性はこの指標、21日に発表された全国消費者物価指数(CPI)の大幅な上昇だった。

しかし結果は市場予想通りとなった。

生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比+3.3%、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは+4.2%だった。物価目標の2%は越えているが、帰属家賃を除いたサービスが+2.3%となっており、全体的には先行きが読めない点が多い。

市場予想通りという点では無風といえる結果だった。

気になるのはこのCPIを受けて日銀が来週発表する物価の見通しがどうなるかだろう。CPI発表前に内閣府が公表した年央試算を参考に、昨日時点では下記のように予想した。

・2023年度 生鮮食品除く消費者物価指数:2.4%~2.8%
・2024年度 生鮮食品除く消費者物価指数:1.7%~2.1%

そして、本日発表された6月のCPIを受けても特に違和感のない数字となっているかと思う。年初に想定していたような物価の落ち着きは見られないが、このまま3%台で年末まで推移するとも思えない。

やはり内閣府の見通しとそれほど乖離せず、上記の範囲内に上方修正する形となると予想を据え置いておく。

ドル円の短期的な目論見

少し話がそれてしまうし、普段為替取引についてはあまり言及しないのだが、今日は私の知見が貯まっているYCC修正動向によってドル円が乱高下している状況なので少し意見を書いておきたい。

結論から言うと、短期的にはドル円をロングしたいところだ。

なぜかというと、仮に私の予想が全てドンピシャで当たり、7月の日銀会合でYCC修正がないことを前提にした上で、もうひとつのドル高円安要因を検討しよう。米国の動向だ。

7月のFOMC会合後はおそらくかなりのタカ派

来週開催の7月FOMC会合での0.25ポイントの利上げは織り込まれており、これが変わることはまずないだろう。

問題は次の会合以降でもう一回利上げされるかどうかだ。今は16%程度しか9月のFOMC会合での利上げを織り込んでいないのだが、正直これは低すぎる。私の予想では、今の市況の雰囲気では、ほぼ確実に7月の会合でパウエルFRB議長はかなりタカ派寄り発言をして牽制することになる。

そして、それを受けて一時的にまた米国債の利回りが上昇し、ドル高も進む。

YCC修正の見送り、7月FOMC会合でパウエル議長のタカ派発言、この2つのイベントを考えるとドル高、円安にかけるポジションが妥当だろう。

いずれにせよ、来週は今後の株式市場、為替相場を占う上でも重要なイベントが控えているので週末に各イベントの参考資料となるものに目を通しておくと良いだろう。

私はハリーポッタースタジオ・ツアーへ行くため、土曜日は全く作業ができない。日曜日に猛烈に頑張るつもりだ。

ニュースメモ

各見出しに記事へのリンク有。見出しの下の文章は全てリンク先記事からの引用です。

日銀、日本CPI関連

日銀YCC政策、今月修正なら「かなりのサプライズ」-古沢元財務官

元財務官の古沢満宏氏(三井住友銀行国際金融研究所理事長)は、金融政策でハト派姿勢を印象づけた日本銀行植田和男総裁の最近の発言を踏まえ、今月の金融政策決定会合イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の修正はないとみている。

調査は11〜14日に実施した。

日銀7月会合「長短金利操作の修正」予想は3割 市場調査

金融政策を分析する「日銀ウオッチャー」26人を対象に日経QUICKニュースがアンケート調査を実施したところ、7月会合で政策の修正が決まるとの予想は全体の3割となった。

ドルは140円回復、労働市場堅調で米金利高-日銀会合控えCPI注目

米国で新規失業保険申請件数が予想外に減少し、底堅い労働市場を背景とした利上げ継続観測から金利が上昇したため、ドル買いが進んだ。

日本銀行金融政策決定会合を来週に控え、政策修正観測の後退が円の押し下げに働く中、この日発表される6月の消費者物価指数(CPI)も注目される。

6月の全国消費者物価は3.3%上昇に伸び拡大、市場予想通り

6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比3.3%上昇と、前月の3.2%上昇から伸びが拡大した。

生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは市場予想と同じ4.2%上昇と伸びが縮小した。伸び率が前月を下回るのは2022年1月以来。

消費者物価指数、6月3.3%上昇 2ヵ月ぶり伸び率拡大

6月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が105.0となり、前年同月比で3.3%上昇した。伸び率は2カ月ぶりに拡大した。電気代の値上げが押し上げ、食品高も続いている。

QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値の3.3%と同じだった。プラスは22カ月連続。日銀の物価目標である2%を上回る状況が続く。

生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は4.2%上がった。伸び率は5月から0.1ポイント縮小した。指数の伸びが前月を下回ったのは22年1月以来17カ月ぶりとなる。

総務省は政府の電気・ガス料金の抑制策と観光支援策「全国旅行支援」がともになければ、生鮮食品を除く総合が4.4%上昇だったと試算した。

物価上昇率、米逆転も賃金伸び鈍く 日本6月3.3%に拡大

日本の6月の消費者物価をモノとサービスに分けると、生鮮食品を除くモノは4.9%プラスで2カ月ぶりに上昇幅が拡大した。生鮮食品を除く食料は9.2%のプラスで上昇率は横ばいで、全体のプラス幅の6割を占める。

サービスは持ち家を借家と見なして計算する「帰属家賃」を除くと2.3%プラスだった。7カ月ぶりに上昇率が鈍化した。

日銀は現時点でYCC副作用に対応の緊急性乏しいと認識-関係者

この記事の記事が話題になっている。

日本銀行は現時点でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の副作用に緊急に対応する必要性は乏しいとみている。今月に開く金融政決定会合では見直しの是非が議論の対象になり得るという。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。

円が対ドルで141円台に下落、YCC修正の必要性乏しいとの報道で

上の報道を受けて円売り圧力が高まっている。

円急落「緊張感持って注視」 財務官、一時141円台

財務省の神田真人財務官は21日、円が急落したことについて「緊張感を持って注視をしている。過度な変動は望ましくないという観点からあらゆる手段を排除せずに検討する」と述べた。

午後6時20分ごろに財務省で記者団の取材に答えた。

米国

米中古住宅販売、6月は3.3%減の年換算416万戸-市場予想を下回る

6月の中古住宅販売件数は、季節調整済みで年換算416万戸に減少した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は420万戸だった。

中古住宅販売在庫は前月と変わらず108万戸で、6月としては過去最少となった。住宅ローン金利が2021年末時点と比べて2倍余りに上昇しているため、持ち家を売って買い換えるという選択肢を敬遠する人が多い。

中古住宅価格(季節調整前、中央値)は前年同月比で若干下落し、41万200ドル(約5700万円)と、1999年までさかのぼるデータで2番目の高さ

販売に対する在庫比率は3.1カ月。同比率は5カ月を下回ると在庫がタイトと見なされる。

6月に売れた住宅の76%は、市場に出てから1カ月未満で買い手が決まった。物件が市場に出ている平均期間は前月と変わらず18日。